マーケティング
スタートアップのSEO: 無名の新プロダクトを上位表示させる方法
スタートアップや新規サイトのSEO対策。課題起点のキーワード選定、ユースケース別ページ、技術的な基本、正当な被リンク獲得、Search Consoleでの計測まで解説します。

プロダクトが生まれたばかりのとき、その名前を検索する人はいません。だからこそ、新しいプロダクトのSEOはブランドではなく課題から始まります。将来のユーザーがすでに検索エンジンに入力している具体的な質問やタスクを見つけ、それに誰よりもうまく答えるページを作り、技術的な基本を押さえ、少数の正当な被リンクを獲得する。そしてGoogle Search Consoleで結果を測り、調整していきます。
時間はかかります。新しいサイトが検索から安定した訪問者を得るまでには、通常数日ではなく数か月かかり、順位を保証できる人は誰もいません。それでも、この取り組みは積み重なっていきます。今月書いた役に立つページは、ローンチ日のアクセスの山が消えたずっと後も、何年にもわたって適切な人を連れてきてくれる可能性があります。
このガイドは、プロダクトはあるけれどSEOの予算はない、ごく小さなチーム(多くの場合はひとり)に向けたものです。
新しいプロダクトのSEOが違う理由
既存の企業はブランド名で検索流入を得られ、何年分もの被リンクがあり、カテゴリの広いキーワードで上位に表示されます。新しいプロダクトには、そのどれもありません。「プロジェクト管理ソフト」のような広いキーワードで正面から競うのは、最初の1年では現実的ではありません。
新しいプロダクトにできるのは、大手サイトがうまく応えられていない、より絞り込まれた検索で勝つことです。具体的なユースケース、具体的なオーディエンス、具体的な連携先、そして正直な比較です。こうした検索はボリュームこそ小さいものの、検索している人はあなたが作ったものを必要とする段階にずっと近いところにいます。
課題起点でキーワードを選ぶ
カテゴリではなく課題から始める
人は自分が片づけたいことを検索します。割り勘アプリが必要な人は「ルームメイトと家賃を公平に分ける方法」と入力するのであって、「費用共有プラットフォーム」とは入力しません。プロダクトが解決する課題、手助けするタスク、置き換える回避策、比較対象になるツールをリストアップしましょう。それぞれが、キーワード候補のまとまりになります。
大きな予算なしでキーワードのアイデアを見つける場所
- Google自体。オートコンプリート、「他の人はこちらも質問」、関連キーワードから、人々が課題をどう表現しているかがわかります。
- コミュニティ。Redditのスレッド、フォーラム、Q&Aサイトには、ユーザーが実際に使う言葉がそのまま表れています。
- 自分自身の会話。サポートメール、デモの通話、ユーザーインタビューは、検索クエリのような質問であふれています。
- 競合。競合が作っているページは、その顧客が何を探しているかのヒントになります。
- キーワードツール。Googleキーワードプランナーは、Google広告のアカウントがあればおおよその検索ボリュームの範囲を示してくれます。予算があれば、有料のSEOツールでさらに詳しい情報が得られます。
- 公開後のSearch Console。すでに表示されている検索クエリがわかります。これこそ最も信頼できるキーワード調査です。
検索意図と難易度で各キーワードを判断する
候補ごとに、検索している人が何を求めているかを考えましょう。情報収集型の検索(「〜する方法」)にはガイドが向いています。比較型の検索(「Yに最適なX」「Xの代替」「X vs Y」)には比較ページが向いています。特定のタスクや素材を探す検索(「フォトグラファー向け請求書テンプレート」)には、ランディングページ、テンプレート、ツールが向いています。
次に、現在の検索結果を見てみます。1ページ目が、クエリにぴったり合ったページを持つ有名な大手サイトで埋まっているなら、当面は難しいでしょう。フォーラムのスレッド、内容の薄い記事、質問に半分しか答えていないページが見えるなら、チャンスがあります。検索ボリュームの小さいキーワードを切り捨てないでください。まさに求める人たちからの月数十回の検索は、あいまいな数千回の検索より価値があることもあります。
ユースケースごとにランディングページを作る
ひとつのトップページですべてのキーワードで上位表示させることはできません。フリーランス向け、小規模な制作会社向け、連携している特定ツールのユーザー向けといったように、重要なユースケース、オーディエンス、連携先ごとに専用のページを用意しましょう。
良いユースケースページは、次のように作ります。
- 検索する人自身の言葉でユースケースを表した見出しを使います。
- そのオーディエンスが実際に感じている形で課題を説明します。
- まさにそのシナリオのスクリーンショットを使って、プロダクトがどう解決するかを見せます。
- そのオーディエンスによくある質問に答えます。
- プロダクトを試してもらうなど、明確な次のステップで締めくくります。
1〜2語だけを変えたほぼ同じページは避けましょう。Googleのスパムに関するポリシーは、主に順位を操作する目的でページを大量生産することに警告しています。それに、内容の薄いページはそもそも訪問者の役に立つことがほとんどありません。テンプレートをコピーした50ページより、本当に異なる5ページのほうが優れています。
比較ページと代替ページは正直に作る
「X vs Y」や「Xの代替」を検索する人は意思決定の一歩手前にいるので、こうしたページには価値があります。同時に、失敗しやすいページでもあります。
- 正確かつ最新に。競合の機能と価格は相手のサイトで確認し、ページに日付を入れ、変化があれば更新しましょう。
- 公平に。相手のプロダクトの優れた点と、どんな人に向いているかを書きましょう。読者は、トレードオフを認めている比較を信頼します。
- 名前は識別のためだけに。競合の名前は説明のために使い、存在しない提携や推薦をほのめかすことは決してしないでください。
- 本当の代替を挙げる。代替ページには自分のプロダクトも載せつつ、本当に合うほかの選択肢も、それぞれ正直なコメントを添えて載せましょう。
誤解を招く比較は信頼を失わせ、法的なトラブルを招くおそれもあります。正直な比較は、サイトの中でも特に役に立つページのひとつになり得ます。
小さなチームのためのコンテンツ計画
毎日公開する必要はありません。必要なのは、そのクエリに対して明らかに最良の答えになっている、少数のページです。
- プロダクトのユースケースに直結するトピックを3〜5個選びます。
- トピックごとに、メインのガイドを1本と、具体的な質問に答える短い記事を数本計画します。それらを相互にリンクし、関連するランディングページにもリンクしましょう。
- 1〜2週間に1本しっかりした記事を出すなど、続けられるペースで公開します。
- あなたにしか加えられないものを加えます。実際のスクリーンショット、自分の事例、プロダクト開発から得た教訓、自分が実際に持っているデータです。
- 人がリンクしたくなる素材をいくつか作ります。テンプレート、チェックリスト、小さな無料ツールや計算ツールなどです。
- 数か月ごとに古いページを見直します。更新し、タイトルを磨き、内容が重なるページは統合しましょう。
どのコンテンツも、コミュニティ、ニュースレター、サポートの返信で二重に活用できます。ほかの例は、当ブログのほかのガイドをご覧ください。
新しいWebサイトのためのテクニカルSEOの基本
小さなサイトなら、テクニカルSEOは複雑である必要はありません。ただし、ここでミスをすると、ほかのすべての取り組みが機能しなくなることがあります。GoogleのSEOスターターガイドは、わかりやすい公式の概要です。
タイトルとメタディスクリプション
すべてのページに、内容を平易な言葉で表した固有のタイトルを付け、メインキーワードは先頭近くに置きましょう。メタディスクリプションには、ページの要約とクリックする理由を書きます。検索エンジンがディスクリプションを書き換えることもありますが、良いディスクリプションを書いておくことが、わかりやすい検索結果を得るための最善の方法です。
canonical URL
各ページのアドレスはひとつにすべきです。httpsと、wwwありかなしかのどちらかを選び、それ以外はリダイレクトして、優先するURLを指すcanonicalタグを追加しましょう。トラッキングパラメータ、末尾のスラッシュ、複数のパスに同じコンテンツがあることによる重複に注意してください。
サイトマップとrobots.txt
正規かつインデックス可能なページを列挙したXMLサイトマップを公開し、Search Consoleで送信しましょう。見つけてほしいページをrobots.txtがブロックしていないか確認します。ステージング環境のnoindexタグが残ったままサイトを公開してしまうのは、ローンチ時の典型的なミスです。ローカルのコピーだけでなく、本番のサイトを確認しましょう。
構造化データ
構造化データは、通常schema.orgの語彙を使ってJSON-LDで記述するもので、そのページが何なのか(組織、ソフトウェアアプリケーション、記事、パンくずリストなど)を検索エンジンが理解する助けになります。リッチリザルトの対象になる可能性はありますが、保証されるわけではありません。マークアップするのはページに実際に表示されている内容だけにし、実在しない評価やレビューを追加することは決してしないでください。
表示速度
速いページは、訪問者にとっても検索にとっても有利です。画像を圧縮して最新のフォーマットで配信し、不要な重いスクリプトは読み込まず、スクロールしないと見えない部分は遅延読み込みにしましょう。PageSpeed Insightsなどのツールは、読み込み、応答性、視覚的な安定性を測るCore Web Vitalsを報告してくれます。
モバイルとレンダリング
Googleはインデックス登録に主にページのモバイル版を使うので、モバイルのページにはデスクトップ版と同じコンテンツを載せる必要があります。サイトがJavaScriptに大きく依存している場合は、重要なテキストやリンクがレンダリング後のページに表示されることを確認しましょう。理想はサーバー側でのレンダリングです。バイブコーディングのガイドで紹介しているようにAIツールで素早くサイトを作った場合は、公開前にこれらの基本を確認してください。
内部リンクとURL
短く読みやすいURLを使いましょう。トップページとナビゲーションから最も重要なページへリンクし、関連する記事同士もリンクします。どこからもリンクされていないページは、人にもクローラーにも見つけにくくなります。
初期の被リンクを正当に獲得する
ほかのサイトからのリンクは、検索エンジンがあなたのページを発見し、どの程度信頼できるかを判断する助けになります。新しいプロダクトでも、最初のリンクを正当な方法で獲得できます。
- ローンチプラットフォームとディレクトリ。Product Hunt、Show HN、カテゴリ別のディレクトリ、アプリのマーケットプレイスは、多くの場合あなたのサイトにリンクしてくれます。こうしたリンクの多くはnofollowなので、主にもたらされる訪問者や発見の機会に価値があると考えましょう。アプリ向けの掲載先については、モバイルアプリのリリースのガイドで取り上げています。
- ショーケース。ギャラリーや地図型のサイトは、新しいものを眺めるのが好きな人の前にあなたのプロジェクトを置いてくれます。たとえばOne Dollar Planetでは、惑星にロゴを置くと専用ページとプロジェクトカタログへの掲載が付いてきます。SEOの近道ではなく、見てもらうための場所として考えてください。
- コミュニティ。役に立つ回答の中で、それが本当にその質問への最良のリソースなら、自分のガイドへのリンクを含めてもよいでしょう。
- ゲスト投稿とインタビュー。ユーザーがフォローしているブログ、ニュースレター、ポッドキャストに、具体的で役に立つテーマを提案しましょう。ゲスト投稿を売るためだけに存在するサイトは避けてください。
- パートナーと連携先。連携しているツールは、自社サイトにパートナーを掲載していることがよくあります。
- リンクされる素材。無料ツール、テンプレート、オープンソースプロジェクトは、その価値によって自然にリンクを集めます。
検索順位を上げる目的でのリンク購入、大規模な相互リンク、プライベートブログネットワーク、自動化された大量登録は避けましょう。Googleのスパムに関するポリシーはこれらをリンクスパムとして扱っており、新しいサイトにとっては得るものよりはるかに大きな害になり得ます。
Google Search Consoleで計測する
Google Search Consoleは無料で、Googleがあなたのサイトをどう見ているかを教えてくれます。ローンチ当日に設定しましょう。
- サイトの所有権を確認します。理想は、DNSレコードを使ってドメインプロパティとして確認することです。そうすれば、すべてのサブドメインとプロトコルをカバーできます。
- サイトマップを送信し、エラーなく処理されたことを確認します。
- ページのインデックス登録レポートを開き、どのページがインデックスされていて、ほかのページはなぜされていないのかを確認します。
- URL検査ツールで重要な新しいページを検査し、公開や更新のたびにインデックス登録をリクエストします。
- 検索パフォーマンスのレポートで、検索クエリ、ページ、表示回数、クリック数、クリック率、平均掲載順位を確認します。
そのうえで、見えたことをもとに行動しましょう。
- 表示回数が多いのにクリックが少ない:クエリにもっと合うように、タイトルとディスクリプションを書き直します。
- 上位のすぐ下の順位にいる:ページを改善し、足りない答えを加え、関連ページからリンクします。
- 予想外のクエリがある:まだ応えていない需要のサインです。専用ページを検討しましょう。
- インデックスされていないページがある:noindexタグ、canonicalのミス、薄いコンテンツ、内部リンクの不足がないか調べます。
Search Consoleのデータは数日遅れで反映され、ボリュームが小さいうちはばらつきが大きいので、直近28日間とその前の28日間を比べるなど、長めの期間で比較しましょう。アナリティクスと組み合わせて、検索から来た訪問者が実際に登録してプロダクトを使っているかを確認してください。
まとめ
- 新しいプロダクトが最初に上位表示されるのは、自分の名前ではなく、課題やユースケースのキーワードです。
- ボリュームが小さくても、検索意図に合った具体的なキーワードを選びましょう。
- ユースケースごとに個別のページを作り、比較ページは正直に書きましょう。
- タイトル、canonical URL、サイトマップ、構造化データ、表示速度、モバイル対応は早い段階で整えましょう。
- 被リンクは、ローンチ、ディレクトリ、コミュニティ、パートナー、役に立つ素材を通じて獲得し、リンクスパムには決して頼らないでください。
- Search Consoleで計測し、実際に得ているクエリをもとにページを改善しましょう。
よくある質問
新しいWebサイトのSEOにはどれくらいの期間がかかりますか?
新しいサイトが安定した検索流入を得るまでには通常数か月かかり、競争の激しいテーマではさらに長くかかることもあります。インデックス登録自体は数日から数週間で行われることがあります。役に立つページを継続して作り、良いリンクをいくつか獲得すれば助けになりますが、期間を約束できる人はいません。
スタートアップはローンチ前にSEOに取り組むべきですか?
技術的な設定、サイトマップ、Search Console、いくつかの核となるページといった基本は、ローンチ前に済ませましょう。本格的なコンテンツ作りは、実際のユーザーが自分の課題をどう表現するかを聞いたうえで、ローンチ直後から始められます。検索結果に新しいページが反映されるには時間がかかるので、早く始めることが重要です。
ディレクトリからのリンクは今でもSEOに効果がありますか?
関連性が高くきちんと運営されているディレクトリがいくつかあれば、リンクがnofollowであっても、人々があなたを見つけ、検索エンジンがサイトを発見する助けになります。質の低いディレクトリへの大量登録が役立つことはまれで、リンクスパムのように見えることもあります。ユーザーが実際に閲覧しているディレクトリを選びましょう。
新しいページでは、いくつのキーワードを狙うべきですか?
各ページにはメインのトピックをひとつと検索意図をひとつ割り当て、その中で自然な言い換えや関連する質問をカバーしましょう。関係のないキーワードでひとつのページを上位表示させようとすると、たいていはどのキーワードでも弱くなります。2つのキーワードに別々の答えが必要なら、別々のページが必要です。
AIで書いたコンテンツはSEO的に問題ありませんか?
Googleのガイダンスが重視しているのは、コンテンツがどう作られたかではなく、役に立つかどうかです。主に順位を操作する目的で自動化によってページを大量生産することは、スパムに関するポリシーに反します。AIツールを使うなら、自分自身の経験を加え、すべての事実を確認し、そのページが本当に最良の答えになるまで編集しましょう。



